2017/10/31
コアジサシたちのにぎやかな子育て
遅ればせながらブログに書くのは初めてかもしれませんが、今年はコアジサシ・イヤーと言えるほどたくさんコアジサシを見てきました。営巣地整備作業と、営巣調査研修、営巣調査3回、リトルターンアートプロジェクトの取材1回、観察会1回と、計7回もリトルターン・プロジェクトが活動している東京都の森ヶ崎水再生センター屋上に行って、営巣の様子を観察してきました。コアジサシが渡ってきてから、求愛しているところや、卵を産んで温めているところ、ヒナたちが生まれて、よちよちのヒナがそのうち大きくなって飛べるようになる、など彼らの子育ての一部始終を観察できる貴重な体験をさせていただきました。
そして観察中の私。左側に広がっているのがコアジサシの人工の屋上営巣地。

ことのはじめは昨年の東京港野鳥公園での個展の時に、私の作品を見ていただいた際に、フェルトでもコアジサシを作って欲しいとリトルターン・プロジェクトのMさんから熱心なアプローチがありました。「ではぜひ次季営巣シーズンには子育ての様子を観察させてくださいね」とお話していたのです。そんな中シーズンがやってきまして、これもご縁だし、今年は営巣調査など参加できるものはなるべく参加して、コアジサシを観察させてもらうだけでなく、彼らの現状を身を持って知ることができたらと考えたわけです。コアジサシを間近に知るには絶好のチャンスです。また幸運なことに私が所属している日本ワイルドライフアート協会の有志や他の作家さんたちが一緒になってリトルターン・アート・プロジェクトが立ち上がるという話を聞き、私も参加することにしました。
取材会の様子などこちら(リトルターン・プロジェクトのブログ)
こうした経緯を経て個人的にもコアジサシをきちっと作れるようになりたいという気持ちと、リトルターン・プロジェクトの方々の熱心な活動とコアジサシ自体を応援したいという気持ちもあり、今回本腰入れてのコアジサシ作品作りに至りました。
実際観察して、飛んでいるコアジサシではなく、熱心にヒナたちの世話をする親たちを見るのは本当に新鮮でした。写真などでは見たことがありましたが、それ以上にヒナたちは言葉にできないぐらいかわいくて、親に甘えて下に潜り込んだり、おねだりによちよちバタバタと親に走り寄って行ったり、体を同じぐらいの長さの魚をもらって丸呑みしてゆらゆらしていたり、親のふわふわの羽毛の下に潜りこんでウトウトしていたり、シェルターレンガの下にヒナたちだけで集まってワイワイしていたり、と微笑ましい姿を見せてくれました。でもその反面、暑さにつらそうにあえいでいたり、他の大人に攻撃されたり、過酷な環境に耐えられず息絶えてしまった多くのヒナの死体も目にしました。こうしたすべてを観察することができ、コアジサシの存在が近く感じられるようになり、個人的にもとてもよい経験になりました。
と、前置きが非常に長くなりましたが、ようやくそうこうして観察してきた成果が今週末のジャパンバードフェスティバルにて、他の方のコアジサシ作品と一緒にお披露目されます。
LTAPに参加された方は皆、コアジサシの力になりたいという志のもとに集まり、作品を制作されています。そうした思いの込もった素晴らしい作品が並びますので、ぜひその思いと作品の素晴らしさを堪能していただきたいと思います。
私の作品は「コアジサシたちのにぎやかな子育て」と題した親3羽、ヒナ6羽、卵3個で営巣地を再現したそこそこの大作です。ヒナに小魚を運ぶ親、それを待ちわびるヒナ、シェルターに隠れるヒナたち、ヒナを見守る親の幸せな様子とそのふわふわに守られて安心しているヒナたち、など私の印象に残った風景が再現できればと思っています。
ヒナっこ。ふわふわはフェルトの専売特許。

制作した作品を部屋で並べてみる。

部屋で並べてみたりはするものの、今回はリトルターン・プロジェクトのスタッフの方にもご協力いただき、実際シェルターに使用されているレンガや巣材の貝殻などご用意いただき、実際の風景さながらに再現しようと思っています。なので、当日会場で展示してみないとどんな風景に仕上がるかわかりません。私もドキドキ楽しみにしています。みなさんもぜひどんな景色ができあがっているか確認しに来てくださいね。
ジャパンバードフェスティバルでのLTAPの展示概要はアビスタ会場1階ストリート部分での「リトルターンアートプロジェクト作品展」会場と、私のフェルト作品はアビスタ2階の第2学習室内「バードカービングで社会貢献」内山春雄先生の展示会場の中で展示いただきます。
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ジャパンバードフェスティバルの公式サイト