2017/02/23
延々と続くウロコ模様:トラツグミ
梅やクリスマスローズが咲き、強い南風が吹き、私の大好きな冬ももう終わってしまいそうです。地道にブログをチェックしてくださっていた皆様、ごめんなさい。すっかりさぼってしまったブログ更新で、あっという間に2月も終わりですね。今年に入ってから取り組んでいたトラツグミ(Zoothera dauma)がようやくできあがりました。
以前から、会うたびに作ってみたくなったものですが、時間がある時にじっくり作りたかったので我慢していました。今年は少しのんびりしているので、思い切って挑戦してみました。そして、この冬久しぶりに会って以来作り始めましたが、途中ラッキーにもじっくり近くで観察できる機会がありました。やっぱり実際に実物を目にすると気づくことも多いなぁと改めて思いました。


なんといってもあの細かいウロコ模様。根気いるだろうなぁと思って覚悟していましたが、意外と飽きず、楽しく作れました。トラツグミはこれまで作ったどの鳥より模様が細かいので、トラツグミが作れたら、今後より複雑な模様の鳥たちにも挑戦できるよ、と後押しを得られた気がします。苦労した細かいウロコ模様をぜひ見てやってください。

トラツグミはそれほど珍しい鳥ではないはずなのですが、ウロコ模様がカモフラージュになってうまく背景に溶け込んでしまうと、みつけるのは至難の技です。冬のこの時期、下草や葉の茂りが少ないので比較的みつけやすいですが、それでも一度目を離すとあっという間にわからなくなってしまいます。色も微妙で美しく、ウロコ模様もうっとりするほどの細かく繊細です。でも一番のチャームポイントは大きな目と、ゆらゆらした不思議な動きだと思います。言葉では説明するのが難しいので、ぜひ観察する機会があったらその動きにもご注目してみてください。
では今回は模様をつけていく制作過程をじっくりご覧ください。
胴体に嘴と尾羽をつけたところから。体の姿形は他のツグミ類とは異なり少し特徴的なので、この最初の形作りはとても大事です。ここで焦ると台無しなので、じっくり作っては眺め、作っては眺めを繰り返して体の形を決めていきます。そして、いよいよ模様付けに入ります。翼はだらりと下がっている姿を作るので、まずはちらりとのぞく腰のあたりにウロコ模様をつけていきます。

だんだんウロコ模様が増えていきますが、難しいのは、単調にならないこと、ランダムで無造作に見えることで、これがなかなか難しい。淡々と作業を進めていくと、つい同じような模様になりがちなのです。

腰の部分がある程度終わったら風切部分の翼を作ります。

翼を胴体にくっつけて残りの翼部分を仕上げます。模様もさることながら色も複雑。色についてはなるべく外の光がある昼間のうちに作業します。さらに目の位置を決めるとぐっと進んだ気がして、俄然やる気がわきます。

さーて、難題の頭部分。超細かいウロコ模様に覆われています。

後頭部や背面を仕上げていきます。

首のあたりにはこれぐらいのわずかな繊維を埋め込んでいきます。

胸の方の模様もつけていきます。

すべてのウロコ模様は輪郭を描くだけでなく、羽一枚一枚自体で色がグラデーションになっていたりして、それもできる限り再現します。もう繊維1本2本を埋め込んでいくといった、目がチカチカするような作業が続きます。

背面や胸部分が仕上がったら、足を作ります。

足を作ったら腹面から下尾筒の部分も仕上げていきます。

足を仕上げて、全体の模様のメリハリやバランスを見て、色を追加して深みをだしたら、ひとまず完成です。
鳥見散策ついでに外で撮影してみました。木漏れ日が似合います。

地道な制作作業の様子が伝わりましたでしょうか? こうやって制作過程を見ると、なんだかえらく簡単に見えますね。楽しかったとはいえ、これでも大変は大変だったんですけどね(^ ^;)
これからも作品を毎日眺めることで、気になる部分を修正しながら、皆さんにお見せするまでに、より本物に近づけていきたいです。いつかお見せできるのを楽しみにしています。
