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てっぺんにとまりがちな鳥

すでにご覧いただいた方もいるかと思いますが、まったく新しい試みとして制作した「てっぺんにとまりがちな鳥」について改めてご紹介したいと思います。

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この新作、ゆらゆらする「てっぺんにとまりがちな鳥」制作は、近所 でエゾビタキを観察している時にひらめきました。なんとなく最近は作品を作るだけじゃなくて、作品を動かしたくなっていたのもありまして、あまり外に出ていろんなことができないこの時期にこそひらめくだけで終わらせず、思い切って作ってみようと思いました。

最初は自分でバルサ材のようなもので土台を作り、揺らしてみたらなかなか良い具合でちょっと乗り気に。

ゆらゆら〜をぼーっと眺めているのもなかなか楽しいなぁ、としばらくは試作品をテーブルでユラユラさせてひとりで悦に入っていました。

これならきっと他の鳥好きのみんなも気に入ってくれるんじゃないかと、さらにその気になって、同じようにバードウォッチングにでかけられなくてクサクサした気分の人やリモートワークでストレス溜めて頑張ってる人にでもユラユラ〜っとしてもらって、私みたいにちょっと頬が緩むような気分になってもらいたくなったのです。これこそコロナ禍に必要なゆらぎではないか〜とねwww


ただ、なんでも自分でやりたがりの性格だとはいえ、木工加工はまったくの専門外だし、材料や機械や工具もない中よいものを効率よく素敵に作るのは難しいだろうと思い、早々に自分で作るのはあきらめました。そこで、以前からコーヒースプーンなどを使わせていただいている木工作家の「木とり舎」さんが思い浮かんだのです。

「木とり舎」さんは、nito cafeさんつながりで知った作家さんで、多種多様な木工雑貨を作っておられて、素朴な質感でかわいらしい作品も多く羊毛フェルトとは相性いいだろうな〜とかねてから思っていました。私の作品についても知ってくださっていたのできっとイメージも伝えやすいだろうと、まだお会いしたことがなかったにもかかわらず、思い切って連絡してみました。「木とり舎」さんっていうお名前も素敵じゃないですか、鳥つながりということできっとご協力いただけるはずと勝手に思っていました(玉砕しなくてよかった)。もちろん、快くご協力いただけました。

木とり舎さんのサイトへ

なんといってもこの作品の肝は揺れ具合なので、「木とり舎」さんには何度もサンプルを作っていただき試しました。やっぱり専門の方に作っていただくと素敵だな〜と自画自賛しながら、ようやくこの「てっぺんにとまりがちな鳥」が完成しました。

木製の土台については、何も処理せず仕上げていただいたので、私の方でヤスリをかけ裏面にツグミのイラストを焼き付けオリジナリティーを追加し、最後はエゴマ油でオイルフィニッシュしてツヤを出しました。

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実はフェルトの難しさは、硬い素材のものとくっつけると負けてしまうことです。鳥の部分と支柱部分を組み合わせるのもそういう意味ではなかなか難しいのです。押したり引っ張ったり、曲げたりすれば、羊毛部分との接合部がゆるくなってしまったり、ぬけたりしがちですし、簡単にはそうならないようにはしてありますが。いつもと違っていろんな部分に頭と気を遣いました。

また羊毛でまったく同じものを作るのは難しく、ひとつひとつ重さやバランスも異なるので、それぞれ実際にユラユラさせてバランスを見ながら土台を選択しました(土台の厚さは2種類あって、合う方を使っています)。支柱もかなり細くて折れ曲りやすいものの、あえて太くて頑丈なものではなく全体の見た目のバランスなどを重視しました。


最終的には繊細な動きを追求したら、作りも繊細になってしまい扱いは少々面倒でご購入いただく方にはご迷惑おかけしますが、笑顔になっていただけるような作品に仕上がったという自信はあるので、気に入ってユラユラさせていただければ嬉しいです。



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長くなったので、種類については別の回に。
最近ブログを書くのも一苦労。頭の動きが硬くなったのかなぁ、老化かなぁ。。

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ちなみに、すべて近日中にホビーズワールドさんでオンラインショップ限定フェアでの販売の予定です。
詳細はホビーズワールドさんのブログで最新情報チェックしてくださいね。ホビーズワールドスタッフブログへ

セッカちゃん

新作、冬羽のセッカ(Cisticola juncidis)です。
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ひとりで近所散策中に、目の前の葦の枯野からひょこっと顔をだしました。ほんとに目が合うぐらいの近さでした。改めてセッカのかわいさにグッときたので、さっそく制作した次第です。
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夏に声はよく聞いているけど、姿を見るのはなかなか難しく、遠く草むらから飛び出した時に一瞬だけ、とかそんなことばかりなので、肉眼でも見えるような近さで観察できたのはちょっと感激でした。
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実は以前からセッカのことは気になってました。セッカってかわいくないですか? かわいい鳥というとカラ類やヒタキ類の名があがることが多いけど、私個人としてはヤブサメとかウグイスとかのムシクイ顔にぐっとくるので、セッカもなかなかの萌え系だなと思ってました。あの扇状に広がる尾羽もおされで、英国で見たヒゲガラを彷彿とさせます。冬羽のあたまにラインが入ってるのが特にかわいいなぁと思うので、今回は冬羽で作りました。
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作品は枯野の中をちょこまかと動き回っている場面をきりとってみました。ちょっと贔屓目が加わってあざといぐらいだけど、この振り向いた感じが私は好きなポーズ。
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さっそく近所の多摩川沿いで撮影してみました。撮影していると、スマホ画面に入れても、あれ?どこにいるんだっけ?となるぐらいカモフラージュが効いてる感じが、製作者としては嬉しいわけです。ちゃんと枯野にまぎれるのが確認できれば「我ながらうまくできたな、うんうん」と一人悦に入るのでした。
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あらためて、模様や色がこうある理由を確認でき、おかげでまた自然の妙にじわっと感動できました。
セッカちゃん、嬉しい出会いをありがとう!

ロビンの子

コロナに骨折と、私にとってなかなかな過酷な年だった2020年ももうすぐ終わります。来年はせめて平和で、欲をいえばもう少し上向きな年になるといいなぁ。

ご紹介していない作品がたまっております。こちらは今年の新作(といっても完成したのはだいぶ前ですが)のヨーロッパコマドリ(Erithacus rubecula)の幼鳥です。

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これも昨年英国に旅行した時に見た記憶を残しておきたくて作りました。日本のヒタキ類同様、斑点模様があって、胸がちょこっと橙色になってるところがヨーロッパコマドリっぽところかな。ちなみにイギリス現地ではロビンと呼ばれていますが、実はアメリカでいうロビンはまた別の鳥なので、ややこしいので、あえてここではヨーロッパコマドリと呼びますね。
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この鳥はそもそも人との距離が近い鳥で普段もかなり近くで観察できますが、このモデルにした幼鳥もハムステッドヒース内のカフェで友人とランチしている時にすぐ脇の茂みから出て来て足元をうろうろして、癒し系のかわいい鳥でした。

実は私が遊びにいったこの時期、ニシツノメドリの繁殖の時期の終わりギリギリだったし、他の鳥たちの繁殖シーズンも大方ひと段落ついてしまっていて、現地の友人にはあまりお勧めの時期ではないと言われていたので、正直鳥観察はどうなることかと思っていました。でも実は巣立ったばかりの幼い鳥たちが多く、微笑ましいシーンもたくさん見られたのでこの時期ならではの楽しみもあって結果かえってよかったかなと思います。おかげで日本でお馴染みだけど、繁殖期の姿を見ることはなかなかないカンムリカイツブリやキンクロハジロ、ツクシガモなどみんな幼鳥を連れていましたし、ヨーロッパカヤクグリやこのヨーロッパコマドリの幼鳥にも会えてかえって得した気分でした。

今年作ったヒタキ類の幼鳥はオオルリに次いで2作目。あの独特の斑点模様がとても好きで、作るのは面倒なのですが、つい作りたくなります。次はだれにしようかな。

恐ろしくも愛らしくもウトウ

ウトウ(Cerorhinca monocerata)完成しました。ウトウの最大繁殖地である天売島に2018年夏に訪れた時の記憶のまだ新しいうちに制作しました。といってもだいぶ経ちましたが。
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変わった角と白いまゆげとくちひげが特徴のとても風変わりな鳥なので、実際、本物を見るまではどんな鳥かなかなかイメージできませんでした。でも、実物見たらなかなか愛嬌のあるかわいらしい鳥で、すっかり大好きになりました。

ただ、観察した時は主に夜。真っ暗闇の中、空から重そうな鳥が無数にドサドサ降ってきて、まっ黒い鳥が「ウーウー」と低く鳴きながら、そのへんを動き回っているなんて、ちょっとした恐怖映像(笑)です。あれは本当に普段の鳥観察とはまったく趣の異なるファンタジーめいた体験でした。今まで遠い存在だった海鳥の生態学的な役割などなど、いろいろ気づかせてくれるきっかけになりました。そんな強烈な印象を与えてくれた鳥であるから、私にとって作らない手はないのです。(ちなみに天売島に行った時の話はこちら

イメージとしては魚をたくさんくわえてヒナの待つ穴に急いで帰る親鳥。少々前のめりなスタイルなのは、他の鳥に獲物をとられないようちょっと必死なところを作りました。顔周り以外はいたってシンプルに丸っこい海鳥の体型と色をしています。といっても単純に真っ黒ではないところは海鳥の難しいところ。
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あの不思議な角状の突起は、現地でたくさん落ちていた死体の写真を撮ってきていたので、構造を確認できたのが幸いでしたが、でないとかなり戸惑ったかもしれません。

あと、口は最初から魚をたくさんくわえさせようと決めていたので、開けた状態で作り進めましたが、ここがまた難しいところで、フェルト化させる都合上、そのままあちこちから刺し進めていると、開けておいた口がどんどん埋まっていってしまうのです。そこで、見た目は完全に虐待ですが(笑)、口の中の形を保持させるためにようじをぶすぶす刺しておく、という新技を今回導入しました。おかげでうまいこといきました。
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くわえているのはイカナゴ幼魚(のつもり)です。毎回言うようですが、魚は専門外なので、作っているときはちゃんと魚に見えるか不安でした。もちろん鳥ほどは作り込んでいないのですが、写真の光の具合で、光沢っぽく見えることがあり、写真でみるとなかなかよくできてるように見えますね(自分で言うな)。

夜、庭で撮影してみました。夜に観察した経験を元に制作したので、この写真が一番実物を見た時の印象に近いです。
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改めてウトウのもろもろを見直していたら、また天売島に行きたくなってしまった。。。あれは本当にすごかった。

最後にあとひとつだけ。ウトウって漢字で書くと「善知鳥」なんですって、善きを知る鳥なんてかっこいいね。

タゲリは民衆

タゲリ(Vanellus vanellus)できました。古代エジプトの壁画研究家である母から強くリクエストされていた鳥で、ようやく作れました。まずはこのタゲリを気に入ってもらえるといいなぁと。
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もうずいぶん前から言われていたのに、なかなかとりかかれなかったのは、タゲリのトレードマークでもあるあの冠羽のせい。細くて長いのをどう再現するか、いいアイデアがなかなか思いつかず渋っていました。でも単純に長い冠羽数本に針金を仕込み形を保持できるようにしてみました。出来上がりには満足ですが、取り扱いの際はかなり気を使うものになってしまったので持ち運びは今後の課題です。あと、翼の金属光沢ももちろん難題でしたが、光の当て方次第で金属光沢っぽく見えるようになればいいかなという程度で、おそらく羊毛自身の光沢も多少はあるのでまぁこんな感じでもいいかなと思っております。
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母からは、古代エジプトの壁画の中では「民衆」を示す鳥だからぜひ作ってといわれていました。『古代エジプトの動物』(黒川哲郎著)という本によると、その頃タゲリがレキトと呼ばれていて、レキトは「一般の人々」を指す言葉であったそうです。
タゲリIMG_7752私としては、なぜタゲリが一般の人々という言葉と結びついていたのか、絶対タゲリの生態に関係があるはずなので、そのあたりに大変興味があります。
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ちなみにタゲリは本州には冬鳥として渡来し、田んぼなどの開けたところで見られます。ミミズや昆虫などを食べるようです。ちなみに去年英国に行った時にも現地で見ましたが、この時は日本では見られない夏羽でした。夏羽は翼の白い模様がなくなり鮮やかな色になり、顔の模様も若干めりはりが効いた配色になっているようですが、もっときちんと見ておけばよかったのです。そしてエジプトでは、日本同様、冬鳥のようなので、今回は冬羽で制作してみました。

また、今回顔周りを作っていて、あれ、これってなにかに似てるな〜と思ったら、シンボル「ウジャトの目」に似てるんじゃない。
タゲリとウジャトの目
ウジャトとは、古代エジプトの守護神(後記:女神じゃなさそうなので、修正しました)だそうで、その目を「全てを見通す知恵」や「癒し・修復・再生」の象徴(シンボル)としていたそうです。現代でもおみやげものなどでもこのウジャトの目が使われているのでなんとなく馴染みのあるもので、見たことある人もいるかもしれません。全然関係ないはずなのですが、私にはどうしても似てるように見えましたが、私だけ? なぜなら本来「ウジャトの目」はハヤブサの姿をしたホルス神の目だと考えられているそうで(結局鳥なんですけど)、もちろん見れば断然ハヤブサだな〜と思うのですが、このタゲリの目力にも古代エジプトの人がなにか感じ、興味を持ったのではないでしょうか。

母から古代エジプトの話は昔からよく聞いていて、歴史にまったく興味のない私でも、あの壁画にたくさん登場する生き物たちには興味津々で、真剣に鳥に向き合い始めた最近はなおその関心は強くなりました。特に象形文字であるヒエログリフに登場する生き物たちは究極に簡略化して描かれているのに、どんな生き物なのかがちゃんとわかることに驚きます。

ヒエログリフとしてのタゲリ(右列の鳥がそれ)
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現代のように物や見るべきものが多すぎると、物事の細部や正確さをきちんと把握する能力が薄れていく気がしますが、きっと古代エジプトの時代の人たちの観察力は今では計り知れないものだったんだろうなと、その頃の人たちに思い馳せてみたりして。母の影響ですが、おもしろい動物ネタがたくさんあるので、またちょいちょい古代エジプトネタを挟み込んでいこうと思います。

プロフィール

つぐみ

Author:つぐみ
羊毛ニードルフェルト作家。自然や野生の生き物をお手本にいろいろ作っています。
東京農工大学卒。国際自然保護NGOで働いた後、独学でニードルフェルトをはじめました。自然や鳥、野生の生き物たちからインスピレーションを受け、色々なものを作っていきたいと思います。

日本ワイルドライフアート協会会員
Facebookページ「つぐみ工房」https://www.facebook.com/toritokinoko

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2016年2月17日〜22日にモノギャラリー(吉祥寺)で個展開催
2016年7月7日〜23日にnito cafe(吉祥寺)で個展開催
2016年11月20日、23日、26日、27日に東京港野鳥公園で作品展開催
2018年1月14日〜20日 第5回女視展(有楽町)参加
2018年11月11月〜12月2日 谷津干潟自然観察センター で個展
2019年8月、2019年8月 ホビーズワールド(神田)で作品展
2019年10月〜11月 ECOM駿河台(御茶ノ水)で個展開催など

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